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柔らかな味

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桃の薫りをたぐり寄せる
ちくりと刺さる白い棘が懐かしい


*****

白桃はひいじいちゃん(曾祖父)の思い出。
わたしをかわいがってくれた頑固なじいちゃんのしわくちゃの手が、白い桃をするりするりとナイフで削いでゆく。
忘れられない、甘い香りと目映いイメージ。


ところで、この桃はこの間の旅行で買ったもの。
オレゴン州の北の端っこの港町の市場で買った。
少し寒いところの桃は、甘さよりも酸っぱさが勝ってて、きりっと、しっかりとした味がした。
格好いい味だった。


この桃と一緒に買ったどっさりとパックに入ったブルーベリーは、その場で夫と一緒に食べ尽くした。
私たちのすぐそばにすわってた地元のおばぁちゃんは、カッパエビセンを食べる勢いでブルーベリーをまっしぐらに食べ続ける私たちをずっと見てた。
まさか食べ尽くすはずがないと思ってたであろうおばぁちゃん。
まさかのまさか食べ尽くしてしまって、ちょっと恥ずかしそうにおばぁちゃんのほうににんまりと笑みを向けた私たちに、「あっぱれ」というような笑みを返してくれた。


そのブルーベリー。
そうだなぁ、多分1キロくらいはあったんじゃないかなぁ。
ふたりで食べながら、ただ食べるだけではもったいないので、どういう個体が甘いのか、傾向を調査しながら食べてみた。
「これ絶対甘いよ」、「あれぇ、ちがうなぁ。。。」、「あ、わかった、これこれ」、「ほぉらねっ」、ってな具合を繰り返して。
で、結局のところ、食べ尽くしてしまった後に、「こんだけ食べて、なんにもわかんなかったね」って。


くだものって、くだものを通して、人と繋がってるような気がするの、気のせい?
どっさりのブルーベリーの向こうには、見ず知らずのおばぁちゃんの笑みがあって、きりりと男前な桃の向こうには、とうの昔に遠いところに行ってしまったひいじぃちゃんの影があった。
気のせいなんかじゃないな、きっと。
by tomily | 2008-09-07 12:37 | たび